鳥取砂丘は、鳥取県鳥取市の日本海海岸に広がる南北二・四キロメートル、東西一六キロメートルの日本最大の砂丘である。山陰海岸国立公園内にあり、昭和三十年には天然記念物に指定され、平成十九年には日本の地質百選に選ばれている。そんな鳥取砂丘で販売されているユニークなお土産が砂たまごである。砂たまごは今から七年前、平成十三年に誕生したまだ若い物産ではあるが、鳥取県のくふう展では鳥取県知事賞、全国観光お土産品審査会では日本観光協会会長賞もすでに受賞している。特徴はなんといっても、地元の優良なたまごを鳥取砂丘の砂で焼き蒸していること。まさに鳥取砂丘でしか買えないお土産なのである。では、この砂たまごはどのような経緯で生まれたのだろう。砂たまごを製造・販売するふくべむら特産品本舗にお話をうかがった。それによると砂たまごが誕生する以前は、鳥取砂丘で販売されているお土産といえばほとんどのものが大手メーカーの品で地域を代表するものとはいいがたく、唯一地元の特産品といえるのは、らっきょうくらいだった。そこで、鳥取砂丘の名物を作って、地域の活性化に繋げたいと思い立ったのだという。そうして始まった鳥取砂丘の名物作り。すると、あるスタッフが「温泉卵があるのだから、砂たまごがあってもいいじゃないか」といい、そこから鳥取砂丘の砂でたまごを熱するというアイデアが生まれたのである。とはいえ、アイデアが出ればすんなりと商品ができるというものではない。アイデアを形にするためには試行錯誤の連続だった。最初は鍋の中に砂を入れ、市販のたまごを加熱してみたが、高温のために卵が割れてしまう。そこで、紙に包んでみたらと、新聞紙を使ってみると割れないことがわかった。さらに新聞紙では色気がないのでもっと地域色の濃いものをと、地元特産の因州和紙を使うことになったわけである。因州和紙はきめが細かく耐久性に優れた和紙であり、正倉院の文書にも残る歴史ある特産品である。新聞紙だと砂たまごが完成する頃には黒コゲになってしまうが、因習和紙なら少し焦げる程度で済む。砂たまごはたまごを包む紙にも大きな意味があったのである。そして、卵もエサと水にこだわった鳥取県産のものを使い、地元にこだわりつくした新しい名産品が誕生することになったというわけだ。こうして完成した現在の作り方は、卵を因州和紙に包んで、二五〇度という高温で二十五分間じっくりと焼き蒸すというもの。その際、たまごを全部砂のなかに埋めてしまうのではなく、頭の部分を少し出しておくことがポイントである。熱した卵には、白身にほんのり焦げ色がつく。また、湯でゆでるのとは違い、砂で焼き蒸すと水分が外に出て濃厚な味わいに仕上がり、黄身の食感は栗やイモのようにホクホクしている。現在、この製法は特許を申請中だという。
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