FDAの、ある諮問委員会の議長が言ったように、“弁護士が医師より先を行き。一般の人々がFDAの先を行ったのである。禁止令後、原告側は迅速に動き、数カ月間で何千件、何万件の訴訟手続きがとられた。その結果、豊胸材メーカーから原告と弁護士へ莫大な金が移動した。そして今なおそれが続いている。ところが、その金は、そのメーカーの他の製品を買う消費者が負担するという事実は、あまり注目されなかったし、豊胸材訴訟が与える他の影響についても、広範囲に及びそうであったのにあまり注目されなかった。特に気になるのは、他の医療デバイス製造会社とそれらの材料の供給会社が、製造物の責任がもてないので市場から手を引く考えもある、と言っていることだ。豊胸材の危険性について科学的には確固とした証拠がないのに、次々原告が勝訴する訴訟の奔流のような流れを、その全ての波状効果とともに、どう説明するのか?アメリカの〈不法行為システム〉のいくつかの特異性がこの問題に関係する。それについてはのちの章で検討する。不法行為に関する改革は現在争われている政治問題だが、豊胸材論争はその政治論争をくっきり浮き彫りにし、{不法行為システムの行き過ぎを抑制しようという圧力}と{権利侵害に対する賠償を求めて裁判を起こせるようなアクセスを維持する必要性}との間の緊張をはっきり見せてくれる。
「関連情報」
夢のバストアップ法「豊胸術」